【導入】「頭では分かっているのに動けない」のはなぜ?
「コーチングを受けて目標は明確になったのに、なぜか行動に移せない」 「やりたい気持ちはあるのに、いつも同じ理由で諦めてしまう」 仕事やプライベートで、そんなもどかしさを抱えていませんか?
実は、あなたが行動できないのは、意志が弱いからでも、気合が足りないからでもありません。私たちの行動を支配しているのは「意識」ではなく、圧倒的な力を持つ「無意識(潜在意識)」だからです。
従来のコーチングは、質問を通して「意識」に気づきを与える素晴らしい手法です。しかし、それだけでは人が動けない理由が、近年の脳科学や心理学(NLP:神経言語プログラミング)の観点から明らかになってきました。
この記事では、コーチングにおいてなぜ「無意識」へのアプローチが不可欠なのか、その驚くべき脳の仕組みと、心のブレーキを外す方法をプロの視点から解説します。
1. 意識はポストイット、無意識は畳半畳
私たちが普段「自分で考えている」と思っている意識の領域は、実は氷山の一角にすぎません。
人間の脳は、1秒間に【200万ビット】もの凄まじい情報を外部から浴びています。しかし、その中で無意識が捉えられる情報は134ビット、東京ドームに対して「畳の半分」程度の広さしかありません。さらに、私たちが「意識」にのぼせ、言葉として認識できる情報は、たったの7±2ビット、「ポストイット1枚分」程度だと言われています。
また、無意識は意識の30万倍の速さで働き、膨大な情報を処理しています。
つまり、あなたが「ポストイット1枚分」しかない意識でどれだけ「頑張って行動しよう!」と決意しても、「畳の半分」の広さを持つ無意識が「でも失敗したら怖い」と反対していれば、人間は絶対に動くことができないのです。
2. 慎重な日本人の遺伝子「SS型」の壁
「頭では分かっているけれど、一歩踏み出す勇気が出ない」という現象は、日本人の遺伝子的な特徴からも説明できます。
欧米人は、挑戦的で前向きな行動を促す遺伝子を持つ人が比較的多く、意識的な「気づき」を得るだけで行動に移せる傾向があります。一方で、日本人の多くは脳内物質セロトニンに関わる「SS型」と呼ばれる遺伝子を強く持っており、生来的に「非常に慎重でリスクを恐れる」という性質があります。
そのため、欧米流の「目標を明確にして気合で進む」というコーチング手法だけでは、慎重な日本人の背中を押し切れないことが多いのです。
3. 無意識が作り出す「心のブレーキ」の正体とは?
では、なぜ無意識は私たちの行動を止めるのでしょうか? 「時間がない」「お金がない」「自分には自信がない」といった言い訳が出てくるとき、それは無意識がかけている**「制限的ビリーフ(思い込み)」**という心のブレーキの仕業です。
この厄介なブレーキ、実は無意識があなたをいじめるためにかけているわけではありません。「新しいことに挑戦して傷つくくらいなら、今のままでいる方が安全だ」と、あなたを守るためによかれと思って(肯定的意図)かけてくれているストッパーなのです
過去の失敗や恐怖(プチトラウマなど)を繰り返さないために、無意識が愛を持って作ってくれた防衛プログラムだと言えます。
4. 無意識の扉を守る「クリティカル・ファカルティ」
無意識のプログラムを書き換えるためには、無意識の領域に直接ポジティブなメッセージを届ける必要があります。しかし、人間にはそれを阻む強固な壁が存在します。
人は12歳頃になると、意識と無意識の間に「クリティカル・ファカルティ(批判的機能)」という門番のような蓋を作ります。 例えば「あなたには何でもできる素晴らしい力がある!」とコーチが伝えても、無意識が「自分はダメな人間だ」と思い込んでいれば、この門番が「そんなうまい話はない」とメッセージを弾き返してしまいます。
だからこそ、コーチングにおいては、まず相手と深い信頼関係(ラポール)を築き、心がリラックスしてオープンな状態を作ることが最優先されます。心が開き、この「門番」の警戒が解けたときに初めて、無意識へのアプローチが可能になるのです。
【まとめ】気づきのコーチングから、変化を生む「ヒューニング」へ
「やらなければならない」と意識で自分を奮い立たせるだけの目標達成は、いずれ限界を迎えます。
無意識の仕組みを理解し、行動を止めている心のブレーキ(制限的ビリーフやトラウマ、葛藤)を優しく取り除いてあげること。そして、「どうしてもやりたい!」と自然に体が動いてしまうようなワクワクするエネルギーを無意識に満たしてあげること。
このように、意識への「気づき」を提供するコーチングに加えて、無意識のプログラム自体をチューニングし、人が本来持つ力をフル活用させる手法を「ヒューニング(Human
Tuning)」と呼びます。
「なぜか行動できない」と自分を責めるのは今日で終わりにしましょう。無意識という強大な味方をつければ、あなたの人生のナビゲーションは、驚くほどスムーズに理想の未来へと進み始めるはずです。
